2017年01月25日

古き昔の紀ノ川

「紀ノ川」という1966年の古い映画を紹介します。有吉佐和子の小説を映画化したもので、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」という女性の生涯を紀ノ川の流れに託して描いた名作映画です。

ストーリーは二話に別れていて、第一話・花の巻は、和歌山の六十谷という集落の旧家真谷家に「花」が嫁ぐところから始まり、夫敬策の紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事計画、県会議員進出と進んでいく中、日露戦争の日本海海戦大勝利の中で長女「文緒」を生みます。
第二話・文緒の巻は、時代は進み、長女「文緒」は新時代の感性を持つ女性に成長します。結婚し「華子」を生んだ頃、長年政界にあった父敬策が急逝し、そして終戦を迎えて真谷家は地主の地位を失います。守り神の白蛇が死んだ時、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」もその生涯を閉じます。

映画の中にある古き世界はもう消えてしまいましたが、暖かい季節に和歌山市から紀ノ川を上り高野山まで、そんな時代があったことに思いをはせながら、のんびり旅をしてみたい、そんな気持ちになります。






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2017年01月20日

プログレのち壮大ポップロック

アルバム一枚を通して完結させる、芸術(超絶技巧)志向が強いプログレッシブロックですが、70年代後半以降勢いをなくしていきます。重厚や難解を嫌う、軽い80年代になると、ノリが悪く重苦しいプログレはさらに低迷し、マニアックなコアファン向けのようになってしまいます。それでも高度なテクニックを持つ職人芸的プログレミュージシャンは、パンクミュージシャンのように消えてはいきませんでした。持ってる技術を時代に抵抗せず合わせ、誰もが聴きやすいポップな楽曲にして再生してゆきます。

80年代、そんな変化を経て大ヒットしたプログレ系統の名曲を幾つか紹介します。当時大きく進化したシンセサイザーと卓越した完成度の高い演奏力、そして時代にあったポップ感が特徴です。



●Don't Cry - Asia
「エイジア」は、元キング・クリムゾンのジョン・ウェットン、イエスのスティーヴ・ハウ、ELPのカール・パーマーなどからなるスーパーバンドです。私は中高生なので素直に聴けましたが、昔からのコアなファンには、売れ線狙いの商業主義に転んだ、と非難されました。確かに甘く万人向けのポップなメロディは、ちょっと狙いすぎなようにも思いますが、一度聴いたら忘れられない曲です(個人的にはHeat of the Momentの方がおすすめです)。



●Owner Of A Lonely Heart - Yes
「イエス」は、プロデュース&メンバーに「ラジオ・スターの悲劇」ので知られるバグルスのトレヴァー・ホーンを迎え、斬新なサンプリングによるポップでモダンなロックへと変貌しました。この曲は特にインパクトあるオーケストラル・ヒットが印象的で、当時絶大なアイドル中森明菜の「サザン・ウインド」にもパクられました。



●Illegal Alien - Genesis
「ジェネシス」は、舞台演劇的でアーティスティックなピーター・ガブリエルが抜け、フィル・コリンズが主導するようになり商業的大ヒットを連発するバンドに変わりました。この曲は代表曲ではありませんが、最もポップな曲の一つです。



●Sledgehammer - Peter Gabriel
ジェネシスを抜けた「ピーター・ガブリエル」もソロで大ヒットを出しました。当時最先端の映像と音楽表現でありながらポップさも備えていて、PVは今見ても素晴らしいアート作品です。





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2017年01月16日

読みたい昔の恋愛小説

就寝前の読書は至福のひと時です。私の場合、夏はホラーや推理、青春モノが読みたくなり、冬は時代小説や昔の探偵小説、そして文豪の名作が読みたくなります。

ここでは、明治から昭和初期の文豪達の恋愛小説を紹介します。どれも今の時代とは違う社会や暮らしが舞台ですが、どれも深く印象に残る作品です。書店には置いていないことも多いので、図書館で借りるのがお薦めです。


●野菊の墓 1906年 - 伊藤左千夫
主人公政夫の回想の物語です。旧家の跡取り息子だった政夫は、手伝いに来ている2歳年上の従姉民子と親しくなります。二人の仲は村人が噂するほどになり、心配した母は政夫を東京の学校へ入学させる事にします。その後民子は家に戻され、不本意ながら嫁いでいきますが、その後流産が原因で亡くなってしまいます。民子の左手には政夫の写真と手紙が堅く握られていました…。

純愛小説の代表といえます。今の好き勝手に生きられる時代では味わえない悲しい明治の恋物語です。


●棘まで美し 1930年 - 武者小路実篤
画家を目指す気難しい竹谷と、社交的で明朗な山根は、先生の家で吉村貞子に出会います。竹谷は吉村を好きになってしまいますが、吉村は山根に心を奪われ、二人は結婚の約束する仲になります。失意の中、偉大な富士山の画に挑戦する竹谷の真摯な姿勢に吉村は惹かれるようになり、山根もまた才能を開花させるため新たな歩を進めます。

悪人が一人も出ない武者小路実篤らしい、誰もがハッピーエンドな結末で、清らかな気分に浸れます。


●秋津温泉 1948年 - 藤原審爾
空襲で生きる気力を無くした河本は、死に場所を求めて秋津温泉を訪ねます。そこで出会った女将の娘新子と惹かれ合います。その後何度か河本は秋津を訪れますが、堕落した男になっていました。河本が結婚していることを知り苦悩する新子。最初の出会いから17年が過ぎ、再び秋津を訪れた河本に新子は「一緒に死んで欲しい」と伝えます。

こちらは健全な世界でなく破滅的な物語です。薄っぺらい遊びの恋愛と違う死をかけた愛ですが、読後感は美しいです。



「野菊の墓」と「秋津温泉」は映画化されています。







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