2018年11月10日
その世界に入りたい「木もれ陽の街で」
恋がまだ多くの人にとってひそやかだった時代、昭和26年〜27年の荻窪を舞台にした、諸田玲子の小説「木もれ陽の街で」を紹介します。
空襲の被害に遭わず、周りには与謝野晶子邸や元陸軍大尉の家が残る荻窪に住む小瀬家。主人公「公子」は、丸の内にある商社の医務室に勤務しています。近所には結婚せず姉妹で暮らす父方の伯母が住み、八丈島に住む母方の大伯母は、初恋の男と再会し逢い引きのため年に二度小瀬家にやってきます。幼馴染の祥子は代議士の息子との婚約が整い、裏の家では一家心中が起き、向かいのお妾さんが通いの学生と浮気して追い出されたりと、小さな事件が起こる中、公子は、憂いを持つ画家の片岡と出会い、お互いに惹かれていきます…。
向田邦子的世界が好きな方にはお薦めです。秘めた恋だけでなく結構ドロドロした恋愛や、重い死が絡んできても、なぜか暖かい空気というか、やわらかな世界があって、そこで暮らしている幸せが感じられます。
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