2017年09月13日

Sunday Bloody Sunday


1972年北アイルランドのロンドンデリーで起きた「血の日曜日事件」を扱った映画「ブラディ・サンデー(Bloody Sunday)」を紹介します。

「血の日曜日事件」は、1972年1月30日、デモ行進中の市民27名がイギリス陸軍落下傘連隊に銃撃され、14名死亡、13名負傷した、未だうやむやな部分の残る虐殺事件です。

兵士が、逃げ惑う無防備な市民、被弾した人を助けようと白旗を揚げた人に躊躇なく銃を向け殺害しても、後悔の念すらなく、”アドレナリンが出まくった”と嬉々としている姿が描かれ、カメラワークの臨場感とともに、その生々しさにゾッとします。

この事件の場合、IRA(アイルランド共和軍)への疑心暗鬼から行動がエスカレートしたのでしょうが、権力側の横暴、その後の隠蔽体質は、独裁国家だけではなく民主国家と言われている国でも結構あるんだろうな、思いました。

異なる意見を排除しようとする強権な政治を盲目的に支持する人がいますが、常に権力側に対しては、懐疑的・検証的な視点が大事だと、この映画を観て思いました。

映画では、U2の「Sunday Bloody Sunday」がエンディングに使われていましたが、より直接的なジョン・レノンのこの曲の方がこの事件を生々しく描いています。

●Sunday Bloody Sunday - John Lennon


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2017年08月02日

奇妙な映画「ロブスター」


第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「ロブスター」を観ました。独特の奇妙な設定で、一歩間違うとB級映画の世界になりそうですが、作り込みや世界観がちゃんとしているため、評価の高い作品になっています。

独身者はホテルに送り込まれ、その中で45日以内にパートナーを見つけなければ、自分で選んだ動物に変えられてしまう近未来社会。主人公デビッドは、犬になった兄と共に、そのホテルに連れてこられます。森に住む“独り者たち”を狩ることで猶予日数が増えるため、“独り者たち”狩りとパートナー探しに明け暮れる中、犬の兄を殺されたデヴィッドは、森へ逃げ出します。しかし、森に住む“独り者たち”に加わったものの、恋愛禁止のルールを破り、そこで出会った"近眼の女"と恋に落ちてしまいます…。

いっけん荒唐無稽ですが、社会をデフォルメした、なかなか深い世界のように感じます。ホテル側の世界は、管理と支配の”極右”ファシズムな世界のようであり、森に住む側の世界は、自立自由の中に規律と粛清の恐怖を持つ”極左”の世界のようです。ちょっと中だるみ感と後半がシリアスになりすぎてる印象がありますが、面白い作品でした。





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2017年01月25日

古き昔の紀ノ川

「紀ノ川」という1966年の古い映画を紹介します。有吉佐和子の小説を映画化したもので、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」という女性の生涯を紀ノ川の流れに託して描いた名作映画です。

ストーリーは二話に別れていて、第一話・花の巻は、和歌山の六十谷という集落の旧家真谷家に「花」が嫁ぐところから始まり、夫敬策の紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事計画、県会議員進出と進んでいく中、日露戦争の日本海海戦大勝利の中で長女「文緒」を生みます。
第二話・文緒の巻は、時代は進み、長女「文緒」は新時代の感性を持つ女性に成長します。結婚し「華子」を生んだ頃、長年政界にあった父敬策が急逝し、そして終戦を迎えて真谷家は地主の地位を失います。守り神の白蛇が死んだ時、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」もその生涯を閉じます。

映画の中にある古き世界はもう消えてしまいましたが、暖かい季節に和歌山市から紀ノ川を上り高野山まで、そんな時代があったことに思いをはせながら、のんびり旅をしてみたい、そんな気持ちになります。






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2016年12月20日

映画の美しいシーン

歴代映画の美しいシーンをまとめた映像集です。美しいシーンとなっていますが、クライマックスシーンや構図が斬新なシーンなど、美しいというのとはちょっと違うシーンもありますが、どれも印象的なものばかりです。

映画に詳しい方は、どれも作品名が浮かんでくるでしょう。日本映画もいくつか入っています(小津作品が入っていないのが残念ですが‥)。








●GIZMODEより
目の保養にピッタリ。映画史上最も美しいシーンを集めた動画
http://www.gizmodo.jp/2016/12/movies-beautiful-scene.html





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2016年10月25日

消えた東京



ここで紹介する、旅行ドキュメンタリー映画監督(ナレーターも)ジェームス・A・フィッツパトリックの作品「MODERN TOKYO(=近代的な東京)」は素晴らしいです。80年前のカラー映像とは思えないほど鮮明で、日本の戦前の繁栄した光景を見ることができます。

これらの映像を見ると、何か今より魅力ある街に感じます。空が広く、通りを馬車が走り、ビジネス街は気品がありヨーロッパのようですし、歓楽街は江戸の風情が色濃く残っていて、戦前の日本は独自の和洋折衷な世界が広がっていました。

残念ながら、その後政治は急速に軍国主義に向かい、街の活気は消え、戦争で多くの街が焼かれてしまいます。そして戦後は調和を無視した好き勝手な殺風景な街として復興します・・。


●カラーで見る昭和10年頃の東京
http://news.livedoor.com/article/detail/12158062/




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2016年10月10日

映画は全てが架空になる


以前「ロケのない世界」でも紹介しましたが、最新技術により実際にその場所で演じなくても合成とは思えない映像が作れるようになっています。ブルーバック(グリーンバック)合成は、一昔前の合成だとすぐわかるレベル(日本のテレビ番組では今も)でしたが、お金をかけた欧米の映画やドラマでは、全く合成とわからない映像になっています。

そして今回の「ブラックバード」は、そういった映像の中で希望通りデザインを変えることができる”車”です。ホイールベースの長さを調節できるベースの車輪があり、それにエクステリアを合成することで、小型車から巨大なリムジンまで何にでも変えることができます。

ロケ地や登場する車などを情報発信するサイトがあり、昔の映画などのロケ地調べが結構好きなのですが、ロケ地も合成、運転する車まで合成で、キャストはスタジオ内のブルーバックで演技、となると、もうロケ地といっても撮影隊が行っただけで、登場人物は何も関わっておらず、何か味気ない感じがします(そういう意味では今流行りのアニメのロケ地も同じことですが・・)。

●WIREDより
どんなクルマにも化ける魔法のマシン、その名は「ブラックバード」
http://wired.jp/2016/09/19/magic-machine-tricks/

●Gigazineより
めちゃくちゃリアルなCG自動車が1台から作れるベース「The Mill BLACKBIRD」
http://gigazine.net/news/20160627-the-mill-blackbird/




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2016年09月25日

”まげ”がいい「駆込み女と駆出し男」

子供の頃、時代劇が大好きで、今もBSで昔の時代劇が放送されたりすると観たりしますが、気になるのが”まげ”です。幕末の写真集を見たり杉浦日向子の本を読むことで、実際の”まげ”が小さく、そして多彩なことを知ったからでしょう。現実の”まげ”はだいたい指の太さ位なのですが、時代劇の”まげ”は細めのたくあん位あります。

もともと舞台で映えるよう大げさなカツラを着けた歌舞伎や大衆演劇から活動写真-映画-テレビと、作り物の世界として変化せずにきてしまった歴史があるのでしょう。「遠山の金さん」や「水戸黄門」など架空の世界感が強い活劇の作品ならそれでもいいのですが、史実ものや藤沢周平、山本周五郎の市井ものなど時代考証がちゃんとしている作品の映画の”まげ”がたくあんのようだと、どんなにセットやロケ地が良くても作品が台無しになってしまいます。

そういった意味で意外にも小さめの”まげ”でちゃんとしていたのが、映画「駆込み女と駆出し男」です。井上ひさしの「東慶寺花だより」を原案とした作品で、縁切寺-鎌倉東慶寺に逃げ込んだ「じょご」と「お吟」がいろんな人々と出会い強い女性に変わっていく物語です。縁切寺の聞き取り調査を行う男側の主人公信次郎(大泉洋)は医者見習いということで髪がそのままなので、なんだかな〜という感じですが、他の”まげ”を結った人たちはちゃんと指のような”まげ”をしていたり、結い方を変えていたり、時代を考え作っているな〜と感心してしまいます。井上ひさし原作なので重くなくコミカルな場面も多く、ハチミツ浣腸のシーンは笑ってしまいます・・。










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2016年09月20日

ノルシュテインの「霧につつまれたハリネズミ」

ロシアアニメーションの巨匠、ユーリ・ノルシュテイン。セルロイドに緻密に描き込まれた切り絵を用いるアーティスティックなアニメーション作品で知られています。

ここで紹介する「霧につつまれたハリネズミ」はその代表的短編作品です。ロシアやチェコのアニメーション独自の重厚で幻想的な世界は、日本の線画べた塗り”アニメ”では出せない奥深い魅力を持っています。

簡単なあらすじ
ハリネズミと、友人のコグマは毎晩お茶を飲みながら語り合う仲。ある日ジャムを持ってコグマの家へと向かいますが、その道中濃い霧が立ちこめ、美しい白い馬が霧の中に立っているのを見つけます。ハリネズミは霧は濃く立ち込めた森の中をさまよいながら、不思議な探検をします・・。


「霧につつまれたハリネズミ」Yozhik v tumane






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2016年08月15日

寅さん没後20年

名優渥美清没後20年ということで、いろいろな番組が放送されています。8月3日(水)の「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」、8月4日には「ドキュメンタリードラマ おかしな男〜渥美清・寅さん夜明け前〜」が放送され、8月11日(木)には、“寅さんの妹”さくらを演じた倍賞千恵子や“さくらの夫”前田吟が、寅さんのロケ地をたどる「寅さん鉄道ふれあい旅」を放送されました。

「男はつらいよ」は、子供の頃は苦手でまったく観ておらず、ちゃんと見始めたのは30過ぎてからで、相当遅い寅さん体験でしたが、観ると熱狂的ファンがいる理由がよく分かります。大爆笑するような笑いでなく、ふっと笑顔が出てしまう柔らかい笑いで、コメディというより、まさに喜劇映画と言えるでしょう。

また、消え去った日本の風景が記録されているので、そういった視点で観るのも楽しいです。13作「寅次郎恋やつれ」で、さくら(倍賞千恵子)がマドンナ歌子(吉永小百合)の実家からの帰り道、高台から電車が見えるシーンがあるのですが、前に住んでいた近所(大倉山)だということがわかり、写真を撮ってあります。映画ではなんとも言えないのんびりとした素敵な風景ですが、現在の風景にはその空気感はなくなって東横沿線の一風景になっています。

BS等でこれからも何度も放送される名画です。食わず(見ず)嫌いの人も多いと思いますが、なんとも言えない寅さん世界は見て損はありません。特に30作目くらいまでは活気があってお薦めです。


比較
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「寅次郎恋やつれ」予告編







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2016年06月26日

前衛「不思議惑星キン・ザ・ザ」

旧ソ連の超脱力SFカルトムービー「不思議惑星キン・ザ・ザ」が、デジタル・リマスターされ、8月20日からリバイバル劇場公開されるようです。

本来社会主義は前衛です。それを如実に表しているのが芸術分野です。ロシアングラフィックやポチョムキンなどの映画など典型ですが、この「不思議惑星キン・ザ・ザ」もある意味全くベクトルは違いますが、”前衛”です。

予告編を見る限り、観たい欲求に駆られますが、衝撃的な感動を受けるか、理解不能で時間の流れが遅く感じてしまうか、賭けを伴う作品でしょう。


●超脱力SFカルトムービー『不思議惑星キン・ザ・ザ』ゆるゆる予告編



●ガジェット通信より
【クー!】超脱力SFカルトムービー『不思議惑星キン・ザ・ザ』デジタル・リマスター版公開決定
http://getnews.jp/archives/1465866



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