2018年06月19日

荒廃感と怪しさ溢れる「Uターン」


なんともいえない荒廃感と劇画感のある、オリバー・ストーン監督の映画「Uターン」を紹介します。

ボビー(ショーン・ペン)は、マフィアへの借金を返済するためベガスへ向かう途中愛車マスタングが故障し、アリゾナの荒野の小さな砂漠の街スペリアに立ち寄ります。そこで美女グレース(ジェニファー・ロペス)、彼女の夫ジェイク(ニック・ノルティ)と知り合い、ジェイクに浮気性のグレースを殺してくれたら報酬をやるという話を突然持ちかけられます。ジョークだと受け流していましたが、借金の返済のために用意していた金を強盗に出くわし失ったボビーは、ジェイクの提案を思い出します…。

砂埃が感じられ排他的で閉塞感あるスペリアの街は、住人も一癖ある関わりたくない人たちばかり登場します。配役も素晴らしく、荒廃感と怪しさ満載ですが、ストーリーは単純なので誰もが楽しめる怪作です。


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2018年04月20日

スウェーデンの「幸せなひとりぼっち」


生きる希望をなくした偏屈な男と近所に越してきたイラン人女性家族との交流、再生をユーモアに描く、2015年のスウェーデンの映画「幸せなひとりぼっち」を紹介します。

最愛の妻を亡くした59歳の男オーヴェは、口うるさく偏屈で近所から煙たがられています。父のいた鉄道会社に18歳から勤め続けていましたがリストラされ、絶望し、首を吊って自殺しようとしますが、隣に越してきたイラン人女性パルヴァネ家族が騒がしく、なかなか実行できません。陽気な彼女を疎ましく思いつつ、接するうちに徐々に彼も変わっていきます…。

映画は、冬の木漏れ日のようで、重苦しくなくハッピーエンドな結末(最後に死がありますが)なので気軽に楽しめます。日本と違って福祉が充実しているスウェーデンですが、やはり高齢化社会、そしてお役所仕事などいろいろ問題があるのもわかります。


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2018年04月06日

ただ走る「ランデブー」


フランスの名匠クロード・ルルーシュが1976年に製作した、エンジン音を轟かせながら、朝のパリの街をひたすら9分間走るだけの作品です。

明らかに交通違反してますが、アクセル全開でゴーカートのような低いアングルは迫力があります。看板だらけで雑居な東京と違って、どこまで走っても朝のパリの街は綺麗なので、不思議とずっと見入ってしまう作品です。


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2018年02月24日

濃厚カルト映画「ホーリー・マウンテン」

熱烈なファンを持つアレハンドロ・ホドロフスキー監督の名作です。当然すべての人にはお薦めはできません。下記予告編を観るだけで、人によっては理解不能、不快、嫌悪しか感じないかもしれません…。

ストーリーは、キリストに似た盗賊が練金術師と出会い、大工場経営者、警視総監など9人で不死の賢者たちが憩う神の住む山、ホーリー・マウンテンを目指す、というあらすじですが、基本ストーリーは重要ではありません。とにかくすごい映像が見ものです。脳内がカオスになる快感、狂的な戦慄に魅かれる人にはお薦めです。ダリなどシュールレアリズム系絵画に惹かれる方にも観てほしい作品です。この禁断の世界にハマった方は、ジョン・レノンが絶賛し配給権を買ったことでも知られる「エル・トポ」も観てください。





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2017年12月01日

青春妄想映画「中学生丸山」

宮藤官九郎の2013年監督作品「中学生丸山」を紹介します。

現在TBSで放送中の「監獄のお姫様」も、宮藤官九郎作品らしいマニアックな笑いが散りばめられていますが(主人公たちがハマるメロドラマのヒロインが阿佐ヶ谷姉妹の姉等)、この映画もなかなか普通では味わえない、変な作品です。

主人公円山克也は、団地に住む平凡な中学2年生で頭の中ではエロいことばかり考えていて、「ある目標」を達成するために柔軟体操をしています。そんなある日、団地に謎のシングルファーザー下井辰夫が引っ越してきます。妄想癖のある円山は、団地の近所で起きた殺人事件の犯人が下井だと思い込み、みんなに訴えますが誰も信じてくれません…。

好き嫌いの分かれる映画ですが、こういった笑える青春妄想映画、嫌いじゃないです。




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2017年09月13日

Sunday Bloody Sunday


1972年北アイルランドのロンドンデリーで起きた「血の日曜日事件」を扱った映画「ブラディ・サンデー(Bloody Sunday)」を紹介します。

「血の日曜日事件」は、1972年1月30日、デモ行進中の市民27名がイギリス陸軍落下傘連隊に銃撃され、14名死亡、13名負傷した、未だうやむやな部分の残る虐殺事件です。

兵士が、逃げ惑う無防備な市民、被弾した人を助けようと白旗を揚げた人に躊躇なく銃を向け殺害しても、後悔の念すらなく、”アドレナリンが出まくった”と嬉々としている姿が描かれ、カメラワークの臨場感とともに、その生々しさにゾッとします。

この事件の場合、IRA(アイルランド共和軍)への疑心暗鬼から行動がエスカレートしたのでしょうが、権力側の横暴、その後の隠蔽体質は、独裁国家だけではなく民主国家と言われている国でも結構あるんだろうな、思いました。

異なる意見を排除しようとする強権な政治を盲目的に支持する人がいますが、常に権力側に対しては、懐疑的・検証的な視点が大事だと、この映画を観て思いました。

映画では、U2の「Sunday Bloody Sunday」がエンディングに使われていましたが、より直接的なジョン・レノンのこの曲の方がこの事件を生々しく描いています。

●Sunday Bloody Sunday - John Lennon


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2017年08月02日

奇妙な映画「ロブスター」


第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した「ロブスター」を観ました。独特の奇妙な設定で、一歩間違うとB級映画の世界になりそうですが、作り込みや世界観がちゃんとしているため、評価の高い作品になっています。

独身者はホテルに送り込まれ、その中で45日以内にパートナーを見つけなければ、自分で選んだ動物に変えられてしまう近未来社会。主人公デビッドは、犬になった兄と共に、そのホテルに連れてこられます。森に住む“独り者たち”を狩ることで猶予日数が増えるため、“独り者たち”狩りとパートナー探しに明け暮れる中、犬の兄を殺されたデヴィッドは、森へ逃げ出します。しかし、森に住む“独り者たち”に加わったものの、恋愛禁止のルールを破り、そこで出会った"近眼の女"と恋に落ちてしまいます…。

いっけん荒唐無稽ですが、社会をデフォルメした、なかなか深い世界のように感じます。ホテル側の世界は、管理と支配の”極右”ファシズムな世界のようであり、森に住む側の世界は、自立自由の中に規律と粛清の恐怖を持つ”極左”の世界のようです。ちょっと中だるみ感と後半がシリアスになりすぎてる印象がありますが、面白い作品でした。





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2017年01月25日

古き昔の紀ノ川

「紀ノ川」という1966年の古い映画を紹介します。有吉佐和子の小説を映画化したもので、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」という女性の生涯を紀ノ川の流れに託して描いた名作映画です。

ストーリーは二話に別れていて、第一話・花の巻は、和歌山の六十谷という集落の旧家真谷家に「花」が嫁ぐところから始まり、夫敬策の紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事計画、県会議員進出と進んでいく中、日露戦争の日本海海戦大勝利の中で長女「文緒」を生みます。
第二話・文緒の巻は、時代は進み、長女「文緒」は新時代の感性を持つ女性に成長します。結婚し「華子」を生んだ頃、長年政界にあった父敬策が急逝し、そして終戦を迎えて真谷家は地主の地位を失います。守り神の白蛇が死んだ時、明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた「花」もその生涯を閉じます。

映画の中にある古き世界はもう消えてしまいましたが、暖かい季節に和歌山市から紀ノ川を上り高野山まで、そんな時代があったことに思いをはせながら、のんびり旅をしてみたい、そんな気持ちになります。






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2016年12月20日

映画の美しいシーン

歴代映画の美しいシーンをまとめた映像集です。美しいシーンとなっていますが、クライマックスシーンや構図が斬新なシーンなど、美しいというのとはちょっと違うシーンもありますが、どれも印象的なものばかりです。

映画に詳しい方は、どれも作品名が浮かんでくるでしょう。日本映画もいくつか入っています(小津作品が入っていないのが残念ですが‥)。








●GIZMODEより
目の保養にピッタリ。映画史上最も美しいシーンを集めた動画
http://www.gizmodo.jp/2016/12/movies-beautiful-scene.html





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2016年10月25日

消えた東京



ここで紹介する、旅行ドキュメンタリー映画監督(ナレーターも)ジェームス・A・フィッツパトリックの作品「MODERN TOKYO(=近代的な東京)」は素晴らしいです。80年前のカラー映像とは思えないほど鮮明で、日本の戦前の繁栄した光景を見ることができます。

これらの映像を見ると、何か今より魅力ある街に感じます。空が広く、通りを馬車が走り、ビジネス街は気品がありヨーロッパのようですし、歓楽街は江戸の風情が色濃く残っていて、戦前の日本は独自の和洋折衷な世界が広がっていました。

残念ながら、その後政治は急速に軍国主義に向かい、街の活気は消え、戦争で多くの街が焼かれてしまいます。そして戦後は調和を無視した好き勝手な殺風景な街として復興します・・。


●カラーで見る昭和10年頃の東京
http://news.livedoor.com/article/detail/12158062/




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