2022年12月30日

フィッシュストーリーとビートルズ


伊坂幸太郎の小説を原作にした2009年の映画「フィッシュストーリー」。70年代の売れないパンクバンドが残した“FISH STORY”という曲が、めぐりめぐって彗星が衝突する2012年の地球を救うというストーリーです。コミック的な荒唐無稽な世界が繰り広げられ、気軽に楽しめる映画でした。

その中で、1分間の無音を入れることになった“FISH STORY”に、「ビートルズが無音を入れるならかっこいいけど、売れてないバンドがやったらシャレにならない」、みたいなセリフが出てきます。これはビートルズの名盤Sgt. Pepper'sの「A Day in the Life」エンディング後の無音(実際は15キロヘルツの高周波音)を指しているのでしょう。それまでのレコーディングのルールを打ち破った中期以降のビートルズにはそんな斬新な楽曲がたくさんあります。

● Taxman
奇妙なノイズに1.2.3.4のカウントと咳払いで曲が始まる斬新さと印象的なリードベースは、その後のベースアレンジに多大な影響を与えました。


● A Day in the Life - Sgt. Pepper Inner Groove
オーケストラの一番低い音から最高音へと狂的に進むアレンジ。そして残響するEのピアノコードエンディングの後に高周波音、そして逆回転させた笑い声と話し声が数十秒入ります。


● I Am The Walrus
ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の[セイウチと大工]に触発された曲で、シュールレアリスムな歌詞、奇妙な弦楽アレンジなどサイケデリックで摩訶不思議な楽曲です。


posted by Kadan at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画紹介

2022年12月16日

昔のドラマのいい感じ

1972年の「幸福相談」という古いドラマがTVKで放送されていました。横浜を舞台に、ある姉妹と兄弟が出会ったことから始まる恋模様をコメディータッチで描いたドラマですが、今のドラマにない純粋さというか素朴さがたまらない作品でした。私の知らない1972年の横浜の風景も魅力で、高速道路のなかった頃の横浜駅東口の歩道橋や駅と高島屋-相鉄口の間が屋根なしの商店街だった風景、活気があった時代のイセザキモールなど今と比較するのも楽しかったドラマでした。

またAmazon Prime Videoでも70年代ドラマの傑作といわれる、石立鉄男ドラマ「雑居時代」も始まりました。父と娘5人の家に同居することになった主人公のシチュエーション・コメディで、こちらも成城を舞台になんともいえない70年代の”陽”の世界が満載な作品です。子供の頃再放送でなんとなく見た記憶では、大原麗子の美しさばかりが印象的でしたが、改めて観ると出てくる女優陣みんな魅力的です。以前スカパーで見逃したエピソードが数話あったので、改めてじっくり楽しみたい作品です。







posted by Kadan at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | TV・ドラマ

2022年11月28日

シスコ・パラダイス

塔本シスコという画家がいました。48歳の時に倒れた後独学で絵を描くようになり、自宅団地の四畳半の一室をアトリエにして家族や動植物、想い出の風景を描き、2005年91歳で生涯を閉じました。

その作風は強烈で、一度観たものの心を動かします。美術教育を受けた者が囚われる、空間や陰影、対比など全く関係なく、気持ちのおもむくままに描くその世界は、土着的で郷愁ある日本的世界とアンダーグラウンドな異界をカオス化したような、幻惑すら感じるある種の天国です。

eoegaku.jpg
絵を描く私/(c)塔本シスコ

miano.jpg
ミアのケッコンシキ/(c)塔本シスコ

sakurajima.jpg
桜島/(c)塔本シスコ

yagai.jpg
野外彫刻展を見に行く/(c)塔本シスコ

maeda.jpg
前田館長と記念写真/(c)塔本シスコ



jinseienikki.jpg
塔本シスコ シスコ・パラダイス: かかずにはいられない! 人生絵日記/国書刊行会


posted by Kadan at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | こだわり情報